何がメダルで何がメダルではないのか、明確な定義はありません。学術的には紀元前から存在する貨幣とは区別されルネッサンス期イタリアのピサネロ作のメダル(大英博物館蔵)が世界最古とされています。その形態は直径77mmの円板状のブロンズで片面には人物の横顔と文字が、もう片面には風景と文字が陽刻されています。それはまさに現代の私たちがイメージする"メダル"そのものではありませんか! つまり私たちが共通認識として持つメダルのイメージは数世紀を経てぶれずに存在するということです。一方、メダルの概念の革新は弛まず続けられています。表現の領域を広げる欲求は芸術全般に共通するものでありメダルアートも例外ではありません。
瀬田哲司は2006年に最初のメダルを制作し大英博物館の収蔵になって以来、2012年のFIDEM(国際美術メダル連盟)展覧会グランプリ受賞、2017年ティラーズプライズ受賞など国際的なメダルアーチストとして活動してきました。その作品の一部を紹介します。
手のひら(Palm)に収まるサイズです。
世界最古と言われるメダル(Pissanelo作/大英博物館収蔵)は直径77mmです。製造技術の進んだ現代でもメダルらしいメダルのサイズは6cm〜10cm程度で、手の中に収まるサイズ感が人とメダルとの関係性の鍵となっています。
手のひらの上に載るサイズです。
メダルとしては大きめで彫刻との境界を探っています。私はメダル独特の特徴である「裏と表のある構造」をより立体的に発展させ、メダルであるからこそ可能な芸術表現を追求しています。
親指と人差し指でつまんで持てるサイズです。メダルは古代のコインから発展して造られたと考えられています。
Finger size medalではメダルに発展する未分化な要素を持ちながらアクセサリーなどの用途を模索しています。